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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第3章 第一話-其の参-

愕いて振り向いてみたら、伊勢次の笑顔があった。
「何だ、伊勢次さんなの」
軽い落胆を感じ、そのことを伊勢次に申し訳ないと思った。
「どうしたんだい、何か浮かねえ顔をしてるな」
「そう?」
気のない調子で返すと、伊勢次はますます気遣わしげな表情になる。
「やっぱり、この頃のお彩ちゃんはおかしいぜ。どこか具合でも悪いのか」
どこかで似たような台詞を聞いたような気がしたが、それが長屋を訪ねてきた父が言ったのと全く同じであること漸く気付く。
お彩は、伊勢次と伊八がとてもよく似ていることを改めて認識した。長身で男前の父と小柄で童顔の伊勢次は見かけこそ正反対だが、気の利いた台詞一つも言えない生真面目さ、その分情に厚いところもそっくりだ。
「何だ、伊勢次さんなの」
軽い落胆を感じ、そのことを伊勢次に申し訳ないと思った。
「どうしたんだい、何か浮かねえ顔をしてるな」
「そう?」
気のない調子で返すと、伊勢次はますます気遣わしげな表情になる。
「やっぱり、この頃のお彩ちゃんはおかしいぜ。どこか具合でも悪いのか」
どこかで似たような台詞を聞いたような気がしたが、それが長屋を訪ねてきた父が言ったのと全く同じであること漸く気付く。
お彩は、伊勢次と伊八がとてもよく似ていることを改めて認識した。長身で男前の父と小柄で童顔の伊勢次は見かけこそ正反対だが、気の利いた台詞一つも言えない生真面目さ、その分情に厚いところもそっくりだ。

