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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第26章 第十一話 【螢ヶ原】 其の弐

悪阻が落ち着いて、安定期に入ったら、「花がすみ」の喜六郎を訪ねて、もう一度仲居として勤めさせて貰えないか相談してみようと考えている。京屋を出たからといって、また、「花がすみ」を頼るのもどうかとも思うが、現実として、お彩には、伊勢次や喜六郎の他に相談できる人はいないのだ。
もしかしたら、喜六郎は既に新しい女中を雇い入れているかもしれないが、そのときはそのときで、別の働き口を探すしかない。新しい仕事を見つけられれば、伊勢次の家にいつまでも厄介をかけなくても良いのだ。
生まれたばかりの赤児を抱えて働くことは、恐らくは想像を絶する大変さではあろうけれど、後込みしてはいられない。自分はもうすぐ母親になるのだ。強くならなければと、お彩の持ち前の気丈さがむくむくと頭をもたげた。
もしかしたら、喜六郎は既に新しい女中を雇い入れているかもしれないが、そのときはそのときで、別の働き口を探すしかない。新しい仕事を見つけられれば、伊勢次の家にいつまでも厄介をかけなくても良いのだ。
生まれたばかりの赤児を抱えて働くことは、恐らくは想像を絶する大変さではあろうけれど、後込みしてはいられない。自分はもうすぐ母親になるのだ。強くならなければと、お彩の持ち前の気丈さがむくむくと頭をもたげた。

