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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第26章 第十一話 【螢ヶ原】 其の弐

そう思うと、ひとりでにお彩の心に母親となる歓びが湧いた。それは初めて知った母親としての感情であった。
お彩が物想いに耽っていると、伊勢次が言った。
「良いか、お彩ちゃん。絶対に黙って出ていくのだけはナシだぜ。何度も言うようだけど、俺は、お前がここにいることを何とも思っちゃいねえ。いや、むしろ、お彩ちゃんに何から何まで甘えちまって、食事の支度から洗濯、掃除全部やらせちまって、申し訳ねえと思ってるくらいなんだ。お前がいてくれて、どれだけ助かってるかしれやしねえ。それにな、こんな状態のお前がたった一人また、外へ出ていっちまって行方知れずにでもなったら、俺は〟花がすみ〝の喜六郎さんにも顔向けがならねえ。その辺のところもよおく思案して、くれぐれも馬鹿な真似だけはするなよ」
お彩が物想いに耽っていると、伊勢次が言った。
「良いか、お彩ちゃん。絶対に黙って出ていくのだけはナシだぜ。何度も言うようだけど、俺は、お前がここにいることを何とも思っちゃいねえ。いや、むしろ、お彩ちゃんに何から何まで甘えちまって、食事の支度から洗濯、掃除全部やらせちまって、申し訳ねえと思ってるくらいなんだ。お前がいてくれて、どれだけ助かってるかしれやしねえ。それにな、こんな状態のお前がたった一人また、外へ出ていっちまって行方知れずにでもなったら、俺は〟花がすみ〝の喜六郎さんにも顔向けがならねえ。その辺のところもよおく思案して、くれぐれも馬鹿な真似だけはするなよ」

