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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第30章 第十二話 【花見月の別れ】 其の壱

その母おきわは、お彩が伊勢次の許で暮らすようになるひと月ほど前に、小石川養生所に入ったと、伊勢次から知らされていた。この養生所は官立の病院で、幕府が建てたものである。医者が常勤しており、入院して治療・療養ができる公の施設ということで、庶民からも人気があり入所希望者が順番待ちというほどであった。
おきわもかなり待ったが、伊勢次がつてを頼って方々に頼み歩いた末、漸く入所が許されたのである。
が、伊勢次と二人で江戸を離れている間に、おきわは養生所を出なければならなくなってしまった。
おきわもかなり待ったが、伊勢次がつてを頼って方々に頼み歩いた末、漸く入所が許されたのである。
が、伊勢次と二人で江戸を離れている間に、おきわは養生所を出なければならなくなってしまった。

