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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第30章 第十二話 【花見月の別れ】 其の壱

「倅があんたに惚れてたことは、私も知ってたよ。むろん、あの子だって男だ、好きな女のことをそうそうあからさまに親の前で話したりはしない。それでも、あんたの話は、それこそ厭になっちまうほどしょっちゅう聞かされてたからね。結婚したい娘がいて、その娘が凄く良い子なんだって、耳にタコができるほど繰り返してたっけ」
おきわは、お彩を睨んだ。
「馬鹿だよ。あの子は。その娘には別に惚れた男がいる―、だけど、そいつは必ずその娘を不幸にするのが判ってるから、俺が守ってやるんだとかなんとか言ってさ。惚れた男がいる女なんぞ好きになったって、浮かばれないのは結局あの子の方だっていうのにさ」
おきわは、お彩を睨んだ。
「馬鹿だよ。あの子は。その娘には別に惚れた男がいる―、だけど、そいつは必ずその娘を不幸にするのが判ってるから、俺が守ってやるんだとかなんとか言ってさ。惚れた男がいる女なんぞ好きになったって、浮かばれないのは結局あの子の方だっていうのにさ」

