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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第30章 第十二話 【花見月の別れ】 其の壱

お彩は伊勢次と江戸を離れてからの一部始終をおきわに話すには話したが、むろん、伊勢次と真の夫婦になった夜のことや、伊勢次の死が自害であろうとまでは語ってはいない。できるだけ、おきわを刺激しないように、起こった出来事を順序立てて事実に即して淡々と述べるにとどめた。それだけでも、おきわにとっては十分すぎるほどの衝撃ではあったろう。
それに、母親としての勘から、あまりにも不自然すぎる倅の死が単なる事故死ではないとはすぐに見抜いたはずだ。
それに、母親としての勘から、あまりにも不自然すぎる倅の死が単なる事故死ではないとはすぐに見抜いたはずだ。

