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ドアの向こう〜君に逢いたくて〜
第14章 気持ちのすれ違い

海音はすごくご機嫌で、バスの中でもずっと、私の手を握っている。
バスが走り出すと、私の肩に海音がコツンと頭をのせる。
「ちょっとだけ、こうさせて…。」
海音の髪からワックスの香りなのだろうか、青リンゴのような甘い香りがする。
髪が短くなって顎髭まである海音に、まだ慣れなくて、不思議な感覚になる。
zzz…。
寝息が聞こえたので、横を見ると、海音が気持ち良さそうに寝ていた。
15分位だけど寝かせてあげよう…。
いつの間にか、私も眠ってしまったらしい。
バスは駅に着いて、他のお客さん達が降り始めていた。
「少しやけど、寝るとだいぶスッキリするね。」
海音が伸びをしながら言う。
ここから3駅目が私の住んでいる所の最寄り駅。
「渚はいつもこうやって、SUNに来てるんやね。」
「うん。結構遠いでしょ。」
「わざわざ飲みに来てくれてるんやから、希ちゃんも嬉しいやろね。」
海音と駅前のスーパーで買い物をして、家までの道程を歩く。
まさか地元に海音が来るなんて思わなかったから、一緒に歩いているのが、とても嬉しかった。

