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ドアの向こう〜君に逢いたくて〜
第14章 気持ちのすれ違い

海音と並んでテレビを見る。

こういう時間も、何気に初めてでドキドキしてしまう。

「ねぇ、渚。」

海音が私の髪を、指先でクルクルとして私を呼ぶ。

「なーに?」

「何かさ、こういう普通に恋人っぽい事ってした事なかったなーって。」

「うん。私も今、同じ事思ってた。」

「渚はこういう時間少しでも欲しいって思う?」

「そうだね。少しでも一緒に過ごせるのは嬉しいよ。」

「ふーん。」

海音が髪をいじっていた手を、私の肩に回す。

「右手出して、瞳瞑って。」

…………?


海音に言われた通りにしてみると、手の上に何か冷たい感触。

「あげる!」

海音がそう言って、私の頭をポンポンした。

瞳を開けると私の手の上には、鍵が乗っていた。

「ウチの合鍵。俺が夜勤明けの時とか、先に待っててくれたら、こうやって過ごせるでしょ。」

「ありがとう!すごく嬉しい。」

海音の気持ちが嬉しくて、涙が出てきてしまった。

「もう、渚はすぐ泣くんだから…。」

そう言うと、海音がいつもみたく涙を拭ってくれ、そこにチュッとキスをしてくれた。

「泣かないの。」

髪を撫でながら、海音が優しく言った。
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