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ドアの向こう〜君に逢いたくて〜
第4章 カイさんの事

隣りに座ったカイさんは時々、希と話をしては、いつものようにカラオケをして、お酒を楽しんでいる。
お酒のペースは、随分早い。
すっかりと、ほろ酔いになってきたカイさんが、急に私に声を掛けてきた。
「何か歌って!」
ほらっ!といった感じに、マイクとデンモクを私に渡す。
人前で歌うのも、カイさんの前で歌うのも、すごく恥ずかしい。
何を歌おうかデンモクをいじっている間も、カイさんはニコニコとこちらを見ている。
昔から声が似ているとよく言われる某女子バンドの曲を入れてみた。
「おっ!いいねー!」
と、カイさんがカラオケの映像が流れる画面の方を見る。
お酒がかなり入ったカイさんは、私の歌に体を動かしたり、手拍子をしてくれたりしている。
歌い終わると、お店にいたお客さん達も拍手をしてくれた。
“何か気持ちいい!”
「懐かしいよね。俺の青春時代の曲だよ。」
と、カイさんが煙草の煙を目で追いながら、懐かしそうに言った。
私の青春時代は、この曲よりもう少し後なので、多分カイさんは、私より年上だ。
「カイさんて、何歳なんですか?」
「俺?33だよ。」
「4つ年上なんですね。もっと若く見えました!」
「ほんまに?ありがとー。」
意外なところで、話すきっかけが出来た私は1番聞きたかった事を聞いてみた。

