この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ドアの向こう〜君に逢いたくて〜
第18章 海音の送別会

「スーツなんて珍しいけど、今日は何かあったの?」
希がビールを渡しながら聞いた。
「朝から京都行って物件探し。それにしても、向こうは家賃高いね。」
海音が疲れた感じで答える。
「結局決まったの?」
「まだ決まらないから、出張中にまた回る感じかなぁ…。」
京都に転勤まであと1週間しかないのに、本当にハードスケジュールだ。
海音がビールを持って
「今日はありがとうございます!乾杯ですっ!」
皆と乾杯をかわす。
この光景も今日が、最後になるかもしれないんだな…。
そう思ったら、すごく寂しくなった。
でも、私よりも海音の方が寂しいはずだ。
泣かないように我慢しなくちゃ…。
そんな私の気持ちを感じたのか、海音が私の頭をポンポンとして微笑んだ。
「ほら、渚。楽しもう!」
海音に言われて、私も微笑んだ。

