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ドアの向こう〜君に逢いたくて〜
第18章 海音の送別会
たくさん入ってる予約曲リストを見て、海音が笑う。
「いやいや、これはないでしょ。こんなに歌えないわっ。」
そう言いながら、仲良しなおじ様にツッコミを入れた。
そんな事を言いながら、結局皆と全曲を歌いきった。
その頃には、私も連日の疲れとお酒の量で、よくわからなくなっていた。
「かいとー…。」
閉店間近のお店、今日は皆かなり酔っ払っている。
皆、帰る時に海音に声をかけていた。
「じゃあな、元気でな!」
海音と仲良しのおじ様が、海音を抱き締めた。
「ヤバイですって、泣きそうやから…。」
海音の声が震えている。
おじ様は体を離すと、後ろを振り向かず、手を振ってお店を後にした。
静かになったお店の中、酔い潰れた私の横で海音と希の声が聞こえる。
「これで最後かもしれないんやな…。」
呟いた海音に
「最後の日でも、渚とおいで。」
希が静かに海音に言う。
「引越日が決まったら、LINEするよ。」