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ドアの向こう〜君に逢いたくて〜
第19章 神奈川ラストデート☆江ノ島
「そうだね。同じ日本なんだもん。会いたくなったら、会える距離だよ。」
「そやな…。」
海音が俯いて軽く息を吐いた。
「渚…。デートの最後に聞こうかと思ったんやけど、今この前の返事聞かせて…。」
海音が指輪の付いた私の手をギュッと握り、真っ直ぐにこちらを見る。
「…………。」
2人の間に沈黙が続いた。
しばらくたって、私は海音に返事をする為に口を開いた。
「私も出来れば、海音と毎日一緒にいたい。でもね、やっぱりどう考えても急すぎる…。」
私の言葉に海音も静かに頷いて、聞いてくれている。
「仕事もすぐには辞められないし、途中で投げ出したくない。それに、海音の家族にも、私の家族にもちゃんと、挨拶に行ってちゃんと祝福されてから、海音と一緒になりたい。」
「渚なら、そう言うと思ったよ。」
「一緒に行きたい気持ちは、すごくあるの。でも真剣だからこそ、海音とのこれからを、勢いだけで決めたくないの。ごめんなさい。」
「何で謝るん?渚は間違った事言ってないよ。むしろ渚が俺との将来をしっかり考えてくれてるって分かって、俺は嬉しいけどね。」
そう言って私の指の指輪を触る。
「これ、婚約指輪だから。ちゃんと時期が来たら、渚を貰いに行くっていう約束の証ね。」
「うん…ありがとう。」
「遠距離恋愛、楽しもうな。」
海音が遠距離恋愛、頑張ろうな!ではなく、楽しもうな!と言ってくれた所に、海音の優しさを感じた。
こうして私は来月から、海音と遠距離恋愛をする事に決めた。
きっとそれは大変だろうけど、海音となら乗り越えていける自信が今はあった。