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ドアの向こう〜君に逢いたくて〜
第20章 神奈川ラストナイト

タクシーを待っている間も、テーブルの下で海音が私の手を握っていた。
「じゃ希、明日のランチに2人で来るからね。」
「また明日!」
私達がタクシーに乗ると希が、いつものように、お店の外で見送ってくれる。
「カイ!明日ね。2人共おやすみ。」
「おやすみ。」
名残惜しい雰囲気が、痛い程伝わってくる。
明日なんてこなければいいのに…。
そんな気持ちにさえ、なってしまう。
タクシーが見えなくなるまで手を振っている希に、私達も希が見えなくなるまで手を振っていた。
希が見えなくなると、海音が私の頭に手を回して、自分の肩の方に引き寄せる。
海音の肩に頭を乗せると、海音が私の髪を優しく撫でる。
「渚、俺の事好き?」
「うん、好きだよ。」
「最初はさ、渚が俺に夢中だったのに、何か今は俺の方が渚を溺愛中かも。」
海音が指で私の唇を触りながら、そんな事を言い出した。
「そうなんだ?それは嬉しいかも。」

