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ドアの向こう〜君に逢いたくて〜
第8章 幸せからの落とし穴

時計を見ると、始発はもう動いてる時間。

「帰ります。昨日はありがとうございました。」

私は自分の服に着替えると、そのまま玄関に向かった。

部屋着を着たカイさんが、玄関に来る。


「ナギちゃん、ごめんね。またSUNで…。」


背中越しに聞こえるカイさんの声。

ドアを出てカイさんを見ると、切なそうな瞳で手を振っていた。


昨夜2人で歩いた道を歩いていると、涙が出てきた。

本当なら、昨夜と同じように甘い朝を迎えるはずだった。

昨夜みたいな優しいキスを貰えるはずだった。

お酒のせいで記憶がなくなることは確かにある。

でも、こんなにアッサリ忘れられてしまった事がショックで、しばらく立ち直れそうにない。


“結局気持ちも伝えず終わってしまうのかな…。”


しばらくSUNにも行きたくないし、カイさんにも会いたくない。

でも、私の中に今も残る昨夜の甘い記憶と、カイさんへの思い。

どうしたって、忘れられない。


だってこんなにも、カイさんの事、好きになってしまったんだから…。
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