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ドアの向こう〜君に逢いたくて〜
第9章 渚の誕生日

私がパニクっていると、スマホからカイさんの声が聞こえた。


「もしもし、ナギちゃん…?」

初めて聞く電話越しのカイさんの声…。

耳元で囁くように優しく私に語りかける。

「こんばんは、渚です!電話すみません。」

「ハハッ!何でナギちゃんが謝ってるん?それより、お誕生日おめでとう!」

「ありがとうございます。」

「今、仕事中だから、そろそろ行くよ。またメールする。」

「はい!待ってます。」

「じゃ、飲み過ぎないようにね。」

「お仕事頑張って下さい。」

「ありがとう。」


電話を切って、おじ様にスマホを渡す。

「カイ、夜勤だって。残念だったな。」

おじ様がそう言って、お酒をグイッと飲んだ。

「ありがとうございました。ちゃんと、おめでとうって言ってもらえましたよ。」


電話越しのカイさんの声は、普段よりも艶っぽい声だった。

耳元で聞こえるカイさんの声が、あの日の囁きを思い出させる。

短い会話だったけど、カイさんと話せて、気持ちは少し落ち着いていた。
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