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ドアの向こう〜君に逢いたくて〜
第10章 希サプライズ☆ドキドキのテニスイベント

カイさんとコンビニを出て、希の車に行くと

「ほらね。知ってる人だったでしょ?あ!渚もカイも2人で後ろ座ってね。助手席荷物あるから。」

と希がサラッと言う。

さっきまで荷物なんて、なかったはずだが…。

仕方なくカイさんと後部座席に座る。

希の車は軽自動車でカイさんが細身だからといっても、その距離は結構近い。

「仕事帰りだから、汗臭かったらごめんね。」

カイさんが私の方を見て、申し訳なさそうに言った。

「全然平気です!」

カイさんは、仕事帰りだろうが、休みだろうが、いつも身なりを綺麗にしている。

ほのかにいい香りがする時もあるほど。


酔ってない時のカイさんは、基本口数が少ない。

自分からは、あまり話し掛けてこないし、ましてやボディータッチなんてするはずもなく、車の中でもある程度の距離を保っていた。


「車酔いしちゃうから、窓開けるね。」

そう言ってカイさんが、窓を開ける。

カイさんの黒くてフワフワな髪が風に揺れる。

少し伸びた前髪が、カイさんの瞳にかかる。

その前髪をかきあげるカイさんの横顔は、すごく涼し気で…。

“酔ってる時の甘々なカイさんも好きだけど、シラフな時のクールなカイさんも、やっぱりかっこいい…。”


いつの間にかカイさんの事を、ジッと見つめていた。
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