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ドアの向こう〜君に逢いたくて〜
第13章 誕プレデート☆横浜

中華街を堪能した私達は、また山下公園を歩いて桜木町方面へ向かう。

陽が落ち始めた山下公園は、先程とは違う雰囲気を漂わせていた。

だいぶ暗くなった山下公園を歩いていると

「あそこのベンチ空いてるから、ちょっと座ろうか。」

と海音がベンチに座る。

私も海音の横に座ると、海音が私の頭を自分の肩に乗せた。

「あのね、渚。話しておきたい事があるんだ。」

海音が急に真剣な表情をして言った。

「んっ?どうしたの?」

「前も話したんだけど、俺こっちに来てもう5年なんや。もしかしたら、次の異動で転勤になるかもしれない…。」

さっき頭を過った転勤の事。

考えないふりをしていたけれど、海音の口から聞かされると、それは更に現実味を帯びてしまって、私はどうしたらいいのか、わからなくなってしまった。

「まだ決まったわけじゃないけど、確率は高いから話しておかないとって思ってたんだ。」

「………。」

「秋までは辞令でないから、まだ平気やから。デート中にこんな話してごめんね。」

海音が私の頭を撫でる。

「今日はせっかくデート中なんやし、楽しもう!心の片隅に今の事は入れておいてくれればいいから。」

「わかった…。話してくれてありがとう。急に言われたら、多分もっとショックだったと思うから。」

海音が私の頬を撫でたかと思ったら

「瞳閉じて…。」

そう言った。

静かに瞳を閉じると、海音の唇が私のまぶたに優しく触れた。

「渚が泣かないように、元気になるおまじない!」


瞳を開けると海音が優しく私を見つめていた。

「海音、ありがと…。」


思えば酔ってない普段の海音と、こんなに長い時間いるのは初めてだった。

基本酔っている時の海音も激しさは増すものの、優しい所は変わらない。

どちらにしても、優しい海音。

これが彼の本来の性格なんだろう。
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