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第4章 隣の日常

　どうして俺は、嫁じゃなくてアイツをやっちゃったんだろう。
　俺、なんで嫁と離婚しないんだろうな？
　もしかしたら俺も嫁と同じように、どっかで、嫁のこと必要としてんのかもな。
　例えば、今日みたいにさ。
　このあと、俺を許してくれる存在が必要なのかな？
　お前、どう思う？


　アイツじゃなくたって、さっき話した根岸とか、立川とか、やっちゃってもいーようなやつはいたはずなのにさ。
　あぁ、嫁の浮気相手とかとくにさ。



　そうだ、あの公園だよ。
　あの公園。
　ほら、見えるだろ、あの、●営の緑地公園だよ。
　見えただろ。



　なんでだろうなぁ。　
　なんでここで、今おれ、左折したんだろう。
　なんでだろうなぁ。
　お前を送るって言ったときから、すげぇむかついてんの、なんでだろうなぁ。


　家に帰ったら日常が待ってるから？
　お前が健気で変態だから？
　それとも、俺は生まれつき、根岸や立川や職場の連中と同じように、変わってる人間だから？


　なぁ、お前、分かるか？


　お前の家は中環をまーっすぐ行ってさぁ・・・・。
　そうだよ、こんな緑地公園の駐車場なんて、入らなくたっていいはずなんだよな。


　明日テストでさ、冬には薬科大学を受験して、甲斐性のない俺を養ってやりたいって夢がある、エロくって、可愛くってたまんないお前をさぁ。



　・・・・お前、分かるか？



　俺がやっちまいたいのは、だれで、一体、なんなんだろうなぁ。



　俺の日常はいつから、狂っちまってたんだろう。



　なぁ？



　お前、分かるか？






【終】