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Memory of Night 番外編
第2章 Episode of YOI

「急に電話なんて……嬉しいけどどうしたの?」
今さら過ぎる質問を、愛美はふと思い当たってしてみた。
転校したばかりの頃は新しい生活になかなか馴染めず、愚痴や相談をよくしていた。
どちらかといえば内向的で、自分からあまり積極的に人と関わりを持てない愛美を気遣ってか、明の方から電話をくれることも多かった。
それでも、住む場所が離れれば徐々に疎遠になっていってしまうのは仕方のないこと。メールはたまにするけれど、明と電話はずっとしていなかった。
それなのに今日突然かけてきたということは、自分に、何か要件があるからに違いなかった。
「そうそう、愛美にどうしても渡したい物があってさ」
「……渡したい物? 電話で?」
愛美は軽く首を傾げた。
もちろん電話越しではその仕草は相手に見えないが。
電話での物の受け渡しは、物理的に不可能な気がする。
どういう意味だろうと考えていると、明がふと笑う。
「そう、電話で。渡すっていうか、送るっていうか」
「……送る? 郵便?」
明の言葉から、愛美は連想できる単語をつぶやいてみた。

