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Memory of Night 番外編
第2章 Episode of YOI

「違うって。……えっと、そうじゃなくて……」

 言いながら、明は携帯電話の向こうで何やら操作しているらしい。
 ピコピコと不穏な音が、スピーカー越しに聞こえていた。

「明ちゃん?」
「――よし、できた! 愛美の携帯ってさ、電話しながらメール見れる?」
「うん。見れるけど……」
「メール送ったから見てみて?」

 言われて、とりあえずうなづく愛美。なんだかよくわからないけれど、言われた通りに一旦携帯を耳から離して通話画面を見つめた。
 通話しながらメールフォルダを開いたことはあまり無いため、慣れない操作に戸惑ってしまう。
 多少苦労しながらもようやく受信フォルダを開くと、明から送信されたメールに書かれていたのは、一件のEメールアドレスだった。

「……誰の?」
「わからない?」

 当然の疑問を口にするも、逆に問い返されてしまう。
 愛美はもう一度画面の中を見つめる。小文字のローマ字で書かれたアドレスに途中まで目を走らせ、今度こそ愛美の動きは静止した。同時に思考も停止する。
 数秒後、我に返った愛美はまじまじとそのアドレスを凝視した。
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