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Memory of Night 番外編
第2章 Episode of YOI
あれは、二年前の秋口のこと。
愛美は放課後自分が転校しなければならなくなったことを、明に打ち明けた。
話があるの。それだけ伝えただけで、特に嫌な顔をすることもなく明は応じてくれた。
「――ええ!? 嘘、愛美引っ越すの!? なんで……こんな突然?」
自分のクラスの前の廊下に体育座りで座り込んでいた明が、驚きに声のボリュームをあげる。
膝より少し短めのスカートが捲れないようにと左手で抑え、隣に座る愛美の横顔を見つめた。
一方愛美は同じく体育座りになりながらも、閉じた膝の間を見つめ小さく首を振るだけだった。
「ん?」
明がうつむきぎみな愛美の顔を覗き込む。
そうされて、愛美はようやく重い口を開いた。
「……本当は、もっと前から引っ越す話は出てたの、家族の間で」
「どうして?」
明はわずかに身を乗り出して愛美の返答を待っていた。
愛美は明に視線を向ける。
「あのね……」
ためらい気味に言葉を紡ぐ。
だがその言葉は突然頭上で響いた声によって遮られた。