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Memory of Night 番外編
第2章 Episode of YOI
明は訝しげに首をかしげた。
愛美にも、そんなことはわかっていた。だいたい、相談したいことがあると持ちかけたのは自分の方なのに、早く帰りたいだなんて矛盾している。
せっかく時間を割いてくれた明にも失礼だと思う。
それでも、この場から逃げ出したくてたまらなかった。
明への相談中隣に置いておいた学生鞄を掴み、勢いよく立ち上がる。
「桐原?」
はっとする。
今度の声は明ではなかった。
目の前の少年のもの。
愛美の頬がいっきに熱くなった。
顔を背け、明に向かって頭を下げる。
「ごめんなさい……っ。またね、明ちゃん!」
「え……あ、ちょっと! 愛美ってば!」
明の声が狭い廊下に響き渡る。
振り返ることができずに、愛美は帰る人で溢れかえった廊下を駆け出した。