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Memory of Night 番外編
第2章 Episode of YOI

 最近やたらと日が短くなった気がする。
 愛美は外に出て、ふとそんなことを思った。
 まだ四時半をわずかにまわったばかりだというのに、日は沈みかけていた。
 橙色の空が綺麗だ。
 辺りもすっかり冷え始めていて、紺色のセーターを着ていても肌寒かった。
 スカートのせいか、足は特に冷たい。

(上着持ってくれば良かったな)

 今はちょうど衣替えの時期。ブレザーはまだクローゼットの奥で眠っている。
 愛美は学生達で溢れ返った帰り道をとぼとぼと歩きながら、先ほどの自分の態度を思い出して後悔していた。
 あんなふうに帰ってきてしまい、二人は気を悪くしたかもしれない。
 それでも、あの場にいて漆黒の髪の少年に――宵に自分の顔を見られることがどうしても耐えられなかった。
 愛美は彼が好きだった。初恋だった。
 宵を初めて見たのは中学の入学式。あの頃はまだ今よりも髪が短かったけれど、中性的な容姿は変わらなかった。
 体つきが幼かった分、今よりも女性的だったかもしれない。
 けれども時折聞こえる乱暴はな言葉遣いや少しかすれた変声期を迎えたばかりの声は、確かに少年のものだった。
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