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Memory of Night 番外編
第2章 Episode of YOI
細かい傷がいくつも目立つ、古いドア。
鍵を開け、それに手をかけた宵の動きがふいに止まった。
「……どうしたの?」
「ヤバイ、いる」
その言葉と共に、宵の白い指先が窓越しに指し示す方向を愛美も覗いた。
ここから二教室先の化学室から、懐中電灯の灯りが漏れているのを視認する。
「先生……だよね?」
「ああ、ちょっと遅かったみてー」
舌打ち混じりにそう答え、宵は軽く頷いてみせた。
日直の教師は、もう一階の見まわりを始めてしまったらしい。
化学室の隣は生物室。そのさらに隣はここ、理科準備室だ。
一般の生徒ならば物陰にでも隠れてやり過ごせばどうにかなるかもしれないが、懐中電灯まで常備した教師が相手ではそうはいかない。
中の様子や、窓の開け閉めも確認しているようだから。
だが、廊下を通らなければ玄関にはたどり着ないのだ。
「しょうがねーな。窓から出るぞ」
「窓……っ?」
宵は愛美の腕を引いて、窓に向かった。
ドアの鍵は開けたままだ。
「鍵締めなくていいの?」
「中から締まってたら、誰かいたってバレるじゃん」