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Memory of Night 番外編
第2章 Episode of YOI
「そっか……」
愛美が納得している間にも、宵はすでに次の行動に移っていた。
やや埃っぽい薄緑色のカーテンを開き、窓の鍵に手を伸ばす。
この教室はあまり窓を開けることがないのか、鍵は茶色く錆びていた。
固くなったタブを強引に上にあげ、窓を開いて愛美を促す。
「先出て」
鞄を奪い取られ、灰色の瞳に見据えられる。
言われるままに砂と埃が溜まったサッシに両手を乗せるが、ちらりと宵を振り向いて愛美は首を振った。
「こ、怖くて登れない……っ」
「なんでだよ! ここ一階だぞ」
「じゃなくて」
「いいから気合いで行け!」
低く促され、愛美は飛び上がるようにジャンプした。
膝が壁にぶつかって鈍く痛む。
サッシにも手のひらが食い込んだ。
窓の高さは腰より少し上辺り。それほど高くはないけれど、運動が苦手な愛美には辛い高さだった。
体を支える腕がすぐにぷるぷると震え始める。
「早く登れ。足あげるんだよ」
「わかってるよぉ!」
右足を窓枠にかけようとして、あることに気付く。
「スカートの中見えちゃう……!」
「見ねーから!」