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Memory of Night 番外編
第2章 Episode of YOI
薄暗がりの中、彼の姿はかろうじて認識できる。
体をゆすって笑う度に、少し長めの漆黒の髪が揺れるのをこっそりと覗き見ながら、愛美は不思議な気持ちになった。
こうして話をする前はもっととっつきにくいタイプかと思っていたのに、実際に話してみるとそんな印象は崩れてしまった。
彼は明に、少し似ている気がする。
男女の区別をほとんどせず、まったく親しくもない自分にも気安く話をしてくれる。
分け隔てのないところも、妙に面倒見のいいところも明の性格と重なった。
ふいに地面を踏みしめる音がした。
振り返ると、宵は立ち上がっていた。
手を差し出され、愛美は頭にはてなマークを浮かべる。
「上履き貸して。靴、取ってくる」
「わたしも行……」
「来なくていいよ、どーせとろいんだから。玄関もそろそろ締まるぞ?」
確かに、と思う。日直の教師が校内をすべてまわり終わったら、最後に玄関を締めて裏から帰るのが見まわりの手順だった気がする。
愛美は上履きを脱ぎ、宵に差し出した。
「何組だっけ?」
「……一組」
「了解」
そう短く返答し、踵を返して宵は玄関口に向かって歩いていった。