この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
その恋を残して
第5章 それは、おとぎ話だ

「蒼空は、本当に怜未が自分の中で生きていると信じている。だから、彼女に俺の考えは話していない。蒼空の精神を動揺させることになりかねないからね。だから、僕が現在、その話をしているのは交代人格である怜未の方だけ……」

「じゃあ、怜未は……そのを話しを聞いて……?」

 誠二さんはコクリと頷いた。

「怜未は蒼空の将来を案じている。はっきりと口に出した訳ではないが、このままでいいとは思っていないだろう。だから、怜未は僕の処に通い治療を受けようとしている。つまり、自分を交代人格であることを認めつつある――と、僕は感じているがね」

「仮にそうだとして……では、これからどうなると言うんですか?」

「解離性同一性障害――その治療の答えの一つに『統合』がある。つまり、端的に言えば互いの感情を一つにするということ。しかし、それを急ぐことは正解ではない。『統合』により、交代人格は自分が消えるのではと、不安を覚えることになるからだ。しかし、怜未の場合は、もしかしたら自分が消えることを、むしろ望んでいるのかもしれない……」

「そ……んな」

 怜未の知られざる想いに触れた気がして、俺は言葉を失う思いだった。

 誠二さんはテーブルに置かれたコーヒーを口にする。そして、暫く間を置いてから、こう言った。

「僕の義妹(いもうと)に近づくな」

「は――?」

 あまりの唐突さに俺がキョトンとするのを、誠二さんは、愉快そうに眺める。

「失礼。一度、言ってみたかったのさ。まあ、割と本音だがね」
/184ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ