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その恋を残して
第5章 それは、おとぎ話だ

 俺は、その疑問を誠二さんにぶつける――。

「正しく一日置きに人格が交代する。そんな事例が他にもあるんですか?」

「少なくとも僕は聞いたことがない」

「それに、二人は眠る前に会話をすると言っていました。それを裏付けるように、俺が蒼空と話したことが、怜未にも伝わっていることがあった。その逆もあります。それは説明できますか?」

「否、僕にはできないな」

「じゃあ、怜未が蒼空の別人格だっていう確証はないってことですよね?」

「そうかもしれない。しかし、現実的な考え方だよ。怜未の魂が、蒼空に宿ったと考えるより遥かにね……」

「…………」

「僕も歯がゆいのさ。僕自身、精神科医としての経験は浅い。それでも、蒼空の助けになりたい。そう思って蒼空の側にいることを選んだ」

「蒼空には、どう説明しているんですか?」

 そう訊くと、誠二さんは深いため息をつく。

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