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その恋を残して
第6章 怜未は、ここにいるよ
次の日、木曜日の朝――怜未はコンビニには現れなかった。
「……」
時間を確認し、俺は一人で学校に向かう。
怜未――彼女は一体どんな気持ちなのだろう?
俺は、無駄であると知りつつもそう自問する。自分は『作られた人格』であるのかもしれない。そんなことを聞かされながら、それでも蒼空の身を案じているなんて。そんな怜未の気持ちを、俺の理解に及ぶ筈もなかった。
登校し教室に入った俺は、すぐに怜未が来ていることを確認する。
「……」
怜美は一瞬、俺と視線を合わせたが、すぐに顔を背けていた。
やはり、怜未は俺と関わろうとしていないのか。彼女の示した意図を感じつつ、俺は自分の席に座る。
「オイ、どうなってるんだよ?」
田口が俺の方を振り向く。
「なにが?」
田口の訊いていることは理解しているが、一応間を取る。はっきり言って答えようもない。
「帆月、よそよそしいんじゃんか。お前に対してさ」
コイツ、本当に良く見ているな。と、本気でそう感心して、俺はため息を吐いた。