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その恋を残して
第6章 怜未は、ここにいるよ
「どういうこと?」
「松名くんが守るべきなのは、いつだって蒼空なの。蒼空がいない今でも、それは同じ。松名くんが守るのは、大事な蒼空の身体でしょ」
怜未は、肩をいからせつつ、そう言い切る。
「…………」
俺は唖然と、その姿を見た。そして、コンビニの前で怜未が言った言葉を俺に思い起こさせていた。
あの時、『蒼空を守ってくれてありがとう』と、怜未はそう言った。
怜未は蒼空の身体を共有していることに、ある種の引け目を感じているのだと気がつく。
「私はね……今こうしている私は……怜未でも何でもない。只の偽物かもしれないんだ……」
怜未は打って変わって力を無くすと、ポツリポツリとそう言葉を続けた。
「その話なら、聞いてる」
「えっ――?」
「ゴメン……この前、怜未が診療所から出てくるのを見かけて。気になった俺は、後でその診療所を訪ねたんだ。そしたら、そこの先生と会って――」
「先生って……じゃあ」
「ああ……俺は誠二さんに話を聞いている」
「そう、お義兄さんから……」
「勝手なことをして、悪かった……」
俺がそう謝ると、怜未は静かに顔を振っていた。