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その恋を残して
第6章 怜未は、ここにいるよ
「蒼空は松名くんが好き。今だって、きっと逢いたいと思っている。だから、私が消えたって、松名くんが支えてくれれば、きっと――」
「駄目だ!」
そう否定した俺を、怜未は失望した目で睨む。
「駄目ってなにが……蒼空を、支えられないっていうこと?」
「違う、そうじゃない!」
「じゃあ、どういうつもり? 蒼空は、心の病気なのよ! どうして、それを治してあげようと思わないの!」
「俺は、怜未が消えるのが……嫌だ」
それを聞いた怜未は、複雑な表情を浮かべた。そして――
「どうして……わかってくれないのよ……」
肩をすぼめて俯いた怜未。その身体がワナワナと震える。
「怜未なんて……最初からいないの。三年前に、もう死んでいるんだよ……」
今にも、その場に崩れそうになる怜未を目にした時。
――!?
俺は堪らずに、その身体を抱きしめてしまった。