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その恋を残して
第7章 眠り姫……か

 家の近くで車を降ろされた俺は、暫くの間、その場に立ち竦むしかなかった。

「…………」

 でもやがて、成す術も失い。結局そのまま、帰宅している。

「な、なによ。驚くじゃない。『ただいま』くらい、言いなさいよね」

 無言で玄関に立つ俺の姿を見て、母さんは言った。

「……ただいま」

 俺は機械的に呟くと、部屋へと向かう。

「ご飯できてるわよ」

「いらない」

「いらないって、ちょっと!」

 その時、母さんがどんな顔をしたのかは知らない。

 俺は、そのまま部屋に閉じこもっていた――。

 その後の部屋で、俺は何を考えたのだろう? それを良くは、覚えていない。

 でも、たぶんこんな感じだったと思う。

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