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その恋を残して
第8章 ……終わっちゃった、ね
布団に横になると、すぐに俺は睡魔に襲われていた。考えてみれば、昨夜は一睡もしていない。心配に及ばず、邪な気持ちなど顕れてはいない。
「松名くん――寝ましたか?」
眠りに落ちようちした時、蒼空が声をかけた。逆に一日以上眠り続けて、蒼空は眠れないのかもしれない。
「ん……」
俺が床から見上げると、蒼空はベッドの端から顔を覗かせた。少しドキリとして、眠気が飛んだ俺に、蒼空はそっと手を伸ばしている。
「……」
黙ったまま、俺はその手――その指に自分の指を絡ませる。高まる鼓動を心地よく感じながら、俺たちは暫くの間、そうしていた。
「松名くん――」
「なに――?」
「明日、怜未が起きてきたら……怜未と仲良くしてくださいね」
「蒼空――」
「私は、もう大丈夫――私の話を聞いて、それでも松名くんは好きだと言ってくれました。だから、もう――」
「――?」
蒼空は、握っていた俺の手を放した。
「ずっと、握っていたいけど……怜未が気にすると、いけませんから」
「…………」
そう話した後、程無く。俺たちは、眠りの中へと入ってゆく。