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その恋を残して
第9章 エピローグ
数カ月後――。
もうすっかり秋めいた道を、紅葉を踏みしめながら、俺と蒼空は歩いていた。
蒼空は学校にも慣れ、日に日にその明るさを増しているように見える。
もちろん心に開いた大きな穴に、どれだけ寂しい想いをしたのかは、蒼空にしかわからないことだった。
蒼空がそれを見せないのは、たぶん俺を気遣ってのことだろう……。
俺はあれから、ずっと考えている。あの時――俺は彼女に何と言えばよかったのかを……。
きっと、正解なんて永遠にわかりはしないのだろうと、そう思いながら。
「宋史くん――初めて逢った時のこと覚えていますか?」
蒼空は、不意にそう訊いた。
「確か――校門にところで、蒼空は車から降りて――」
「違いますよ」
蒼空はゆっくり、首を振る。
「先生に連れられて、私が教室に入ると――宋史くんは、立ち上がって私を見つめた」
「えっ――?」