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その恋を残して
第9章 エピローグ
「私たちの恋は、あの時に始まっていたんですね……」
「だって……それは……」
「怜未が、私にくれたんです」
「怜未が……?」
蒼空は俺と向き合うと、俺の両手を握る。
そして、目を閉じて俺の胸に額を当てた。
「怜未は今も私の中に――そして、私と怜未の恋は一つになった。だから、今は前よりもずっと――宋史くんのことが、好き」
俺も目を閉じて、蒼空の頭に頬をよせる。
そうしていると、俺と蒼空の心が繋がって、今にも怜未の声が聴こえそうな――そんな気がしていた。
俺はこれからも、見つからない答えを探してしまうのかもしれない。怜未が幸せになれる未来だって、あったんじゃないだろうか――なんて。
だけど、俺に微笑んでくれる蒼空の笑顔はやはり眩しくて。これからも、それを守り続けたい――今、俺はそう思っていた。
【了】