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その恋を残して
第3章 私と、蒼空の秘密

「私は蒼空さまを心配致しました。静かに怜未さまをお見送りになった蒼空さまは一見して、気丈に振舞われているように見受けられました。ですが、その心中は他者が想像するのもはばかられるほど悲哀に満ちているに違いありません。しかし――」

 言葉を区切り、沢渡さんは俺の方に向き直る。

「松名さま。私はこの後の話を、信じてくださいとは申し上げません。貴方が蒼空さま、そして怜未さまと接する上で、御判断いただきたく願います」

「わかりました。話してください」

 沢渡さんは、小さく頷き、そして話を続ける。

「蒼空さまはご自分の胸に手を当てて、私にこう言われました。『沢渡さん哀しまないでください。怜未は私と共にここに居ます』と。私は蒼空さまの優しさに胸を打たれました。誰よりも哀しんでいるのはご自身。それなのに、私を励ます為にそう言われたのだと感じたからです。ですが、それは私の思い違いだったのです」


「――?」

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