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その恋を残して
第3章 私と、蒼空の秘密

 俺は思わずそう訊くが、自分で言っておきながら胸が苦しくなっていた。

「それは、蒼空と話をしたから……」

「話すって……いつ?」

「今夜、私が眠ると、明日の朝に蒼空が目覚める。それは、沢渡さんに聞いたでしょ?」

「ああ……」

「でも、眠りにつくかつかないかの境の一刻。私と蒼空は話をすることができるの」

「どうやって……?」

「説明は難しいな……。夢の中で誰かと話してる。そんな感覚に似てるのかもね」

 その様子を漠然とイメージしていると、

「昨夜、蒼空は泣いていたよ……」

 静かにそう呟いた怜未の言葉が、俺の胸に刺さる。

 すると、怜未は立ち上がり俺の顔を覗き込むように、身体を屈める。

「ねえ、お願い。明日、蒼空と会ってあげて」

「明日――」

「今日、私に言おうとした言葉があるよね?」

「!」

 そうだった。それを口にしようとした俺を、怜未は遮っていた。

「もし、今もその気持ちが変わらないのなら、その言葉は蒼空に言ってあげて」

 優しく微笑む怜未。その顔は、何処か儚さを感じさせていた。

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