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その恋を残して
第3章 私と、蒼空の秘密

 頭を抱える俺に、怜未はそっと言う。

「ありがとう」

「えっ?」

「松名くんは受け止めようとしてくれている。今は、それで十分だよ。そうしてくれると思ったから、私は松名くんに話そうと思った。そして、蒼空は――」

「……一つ聞いてもいい?」

「どうぞ」

「今、蒼空は俺たちの話を聞いている……のか?」

「聞いていない。眠っているから」

「眠る?」

「そう、私たちが話していることを蒼空は知らない」

「……」

「私たちはね、学校で勉強したこととか、あと、例えば本屋が何処にあるだとか――学習した知識や情報は共有できるの。一方が覚えたことでも、二人のものとして積み重なってゆく。でも、お互いがどんな行動をしたのかは、基本的に知らない。誰と何を話したとか、その時にどう思ったとか――」

「だったら、どうして知っているんだ。その……俺が蒼空に昨日、言った言葉とか……?」

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