この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
その恋を残して
第3章 私と、蒼空の秘密
頭を抱える俺に、怜未はそっと言う。
「ありがとう」
「えっ?」
「松名くんは受け止めようとしてくれている。今は、それで十分だよ。そうしてくれると思ったから、私は松名くんに話そうと思った。そして、蒼空は――」
「……一つ聞いてもいい?」
「どうぞ」
「今、蒼空は俺たちの話を聞いている……のか?」
「聞いていない。眠っているから」
「眠る?」
「そう、私たちが話していることを蒼空は知らない」
「……」
「私たちはね、学校で勉強したこととか、あと、例えば本屋が何処にあるだとか――学習した知識や情報は共有できるの。一方が覚えたことでも、二人のものとして積み重なってゆく。でも、お互いがどんな行動をしたのかは、基本的に知らない。誰と何を話したとか、その時にどう思ったとか――」
「だったら、どうして知っているんだ。その……俺が蒼空に昨日、言った言葉とか……?」