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その恋を残して
第4章 二人で一人、なのです
学校前の通りは車通りも少なく、歩道もしっかりと仕切られてはいる。だが、万一があってはならない。こうして蒼空と歩くことを許してくれた、沢渡さんの為にも絶対に、だ。
その俺の意図が、蒼空にも伝わったのだろう。
「ありがとうございます」
蒼空は嬉しそうに微笑んでいた。
その顔を見た瞬間である。
「蒼空……俺と付き合ってくれないか。その……恋人として」
何の前触れもなく、特に覚悟を決めることもせずに、その言葉が俺の口をついて出ていた。
蒼空の瞳に反射した夕陽の光が、微かに揺らめく。
「嬉しい。私もそうなりたいと思っていましたから……」