この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
その恋を残して
第4章 二人で一人、なのです
※ ※
「帰りも、朝と同じコンビニでいいの?」
「はい。沢渡さんには、そう連絡してありますので」
蒼空と、そんな会話を交わしながら俺たちは校門を出る。
「ただ……」
と、蒼空はふと顔を曇らせる。
「沢渡さんは、少し困っているのかもしれません。あ、松名くんがどうこう言ってる訳ではありませんよ。たぶん、私のことを心配するあまりに……」
そう言われて俺は気づく。怜未は交通事故で、その肉体を失っているのだと。
沢渡さんにしてみれば、二度とそんなことがあってはならないと思うのは当然だろう。だから、何処へ行くにも自分が確実に、送り届けたいと思っている筈だ。
だが、蒼空にしても高校生。その意志を尊重したいとの思いもあり、こうしてコンビニまでの徒歩を了承してくれている。そう考えるべきだった。
「蒼空――」
「?」
俺は、車道側を歩いていた蒼空と、歩く位置を入れ代わる。