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その恋を残して
第4章 二人で一人、なのです


 怜未は俺に、自分たちの秘密を明かした。


 蒼空は俺に、自分と等しく怜未を想うことを望んだ。


 ――と、そんな感じだろうか。しかし、その二つの事柄をして、二人を違うとするとには無理があるだろう。

 では――こう考え直せば、どうだろうか。


 怜未は俺に、自分たちが『二人』であることを明かした。


 蒼空は俺に、自分たちを『一人』だと思うことを願った。


 つまり、蒼空は一つの身体を等しく使うことを当たり前のように思っているが、怜未はそうは思っていないと考えられまいか、ということ。

 そもそも、怜未は自身の身体を失っている。ならば、蒼空の身体を借りていることを後ろめたく思っているのかもしれない。

 そう考えれば、怜未が自分に向けられそうな好意に対して、事前に拒絶した意味も理解できそうな気がする。

「…………」

 些か飛躍しすぎた気になり、俺はとりあえず思考を止める。それに、このまま考えた末に導かれそうな結論は恐ろしいものになりそうな、そんな予感がしていた。


 俺は心の片隅に、それを留めつつ、もっと怜未のことを知らなければならないと感じる。

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