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その恋を残して
第5章 それは、おとぎ話だ
次の日――火曜日の朝。今日も俺は、蒼空と待ち合わせていたコンビニにいる。
しかし、昨日とは違う。今日、表に現れるのは怜未。コンビニから一緒に登校することは、俺と蒼空の間で交わされた約束。だから、ここでいつまで待とうとも、怜未が現れる筈もなかった。
では、何故ここに佇んでいるのか? その意味は無いに等しい。だが万一、もし怜未が、このコンビニに現れた時に、俺がここに居ないという状況は避けたかった。
何となくではあっても、それはあってはならないことだと感じていた。だから、遅刻しない程度のギリギリの時間までは、この場所で油を売ることにしたのだ。
そうした時――
「なに、しているの?」
俺の目の前から、その声は聴こえる。
俺が顔を上げると、正面に怜未が立っていた。それは万が一のことであった筈。だけど、俺はあまり驚かずに彼女の顔を見つめた。