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秘密の恋人
第19章 波乱ヲ呼ブ手紙
金曜の夜の事だった。
義隆さんより先に帰宅して、エントランスの集合ポストを開けると、新聞の夕刊やDMに交じって、一通の手紙が入っていた。
淡い、桜色の封筒。
女性らしい繊細な文字で、萩原義隆様、と書かれたその手紙に、心拍数が上がる。
裏面を見ると、差出人は新田 桜子 とあった。
名前を聞いたわけじゃない、でも、なぜか、義隆さんの別れた奥様だ、と思った。
部屋に入り、リビングのローテーブルに新聞と手紙を置いて、自室に戻り、着替える。
着替えながらも、手紙のことが頭を離れなかった。
渡すべき?
開封して、先に読んでしまおうかしら。
やっと手に入れた、私たちの生活を乱さないで。
何年も前に、勝手して出て行ったくせに…
胸の奥から、もやもやと黒い感情がわき出てきて。
食事の支度をする気も失せ、でも何かを買いに行く気力もない。
その時、義隆さんからメールが入った。
『今から帰るけど、何か買って帰るものはある?』
食事の支度をしていないことだけは返信で伝えた。
20分ほどして、義隆さんが帰ってきた。
「ただいま。体調でも悪いの?何か買おうかとも思ったけど、でも体調悪いなら相談してからの方がいいかと思ったから、何も買わずに帰ってきたよ。出前でもとる?」
ネクタイを緩めながら、自室に入って行く。
義隆さんより先に帰宅して、エントランスの集合ポストを開けると、新聞の夕刊やDMに交じって、一通の手紙が入っていた。
淡い、桜色の封筒。
女性らしい繊細な文字で、萩原義隆様、と書かれたその手紙に、心拍数が上がる。
裏面を見ると、差出人は新田 桜子 とあった。
名前を聞いたわけじゃない、でも、なぜか、義隆さんの別れた奥様だ、と思った。
部屋に入り、リビングのローテーブルに新聞と手紙を置いて、自室に戻り、着替える。
着替えながらも、手紙のことが頭を離れなかった。
渡すべき?
開封して、先に読んでしまおうかしら。
やっと手に入れた、私たちの生活を乱さないで。
何年も前に、勝手して出て行ったくせに…
胸の奥から、もやもやと黒い感情がわき出てきて。
食事の支度をする気も失せ、でも何かを買いに行く気力もない。
その時、義隆さんからメールが入った。
『今から帰るけど、何か買って帰るものはある?』
食事の支度をしていないことだけは返信で伝えた。
20分ほどして、義隆さんが帰ってきた。
「ただいま。体調でも悪いの?何か買おうかとも思ったけど、でも体調悪いなら相談してからの方がいいかと思ったから、何も買わずに帰ってきたよ。出前でもとる?」
ネクタイを緩めながら、自室に入って行く。