この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
秘密の恋人
第20章 約束
「及川さんて彼氏居たんだ」

「……え?」

隣の席の西村さんが、手に持ったボールペンで私の左手を指した。

「そういう指輪は自分ではあんまり買わないでしょう?しかも薬指だし。」

「あ、これ…」

確かめるように薬指に嵌った指輪に触れる。まぁ、ね、と笑ってやり過ごした。

この春、義隆さんに作ってもらった指輪。

義隆さんの息子さんの隆行さんは、神戸の宝飾品関係の会社に勤めていて、企画の仕事をしているらしい。

そこで、企画が通った、と報告を受けたのが去年の秋。

話があるから週末ウチに帰ってくる、と聞いて、寒くなってきた時期だったから、鍋の準備をした。

2人だと食べ切れないから具材が余ってしまって、流用に困るけど、流石、若い男の子がいると減る量が全然違って、久々に鍋を楽しめた。

締めのお雑炊まで堪能した後、隆行さんが鞄からタブレットを出した。

「ちょっとコレ、見てくれない?」

私たちは隆行さんを挟むようにして、タブレットを覗きこんだ。
隆行さんがアイコンをタップして動画を立ち上げる。
再生マークをタップすると、優しいオルゴール調のメロディに合わせて、フワッと 筆記体のロゴが浮かび上がって、スーッと消えていく。
百貨店とかで見たことはあるんだけど、持ってはいないし、何て読むのかも知らないブランドだった。そうか、隆行さんの勤め先ってこの会社だったんだ…と初めて知った。

画面はオレンジがかったピンクのバックに、白いバラの花びらが散りばめられたものに変わる。

ハラハラと花びらが消え、つぎに浮かび上がったのは、

《 婚約【エンゲージ】でも、結婚【マリッジ】でもない、ふたりだけの新しいカタチ…Pre marriage ring 》

というキャッチコピー。

そして、ハーフエタニティのダイヤのリングを嵌めた、女性の手と、それに重なる、お揃いのデザインの、石なしのリングを嵌めた男性の手の写真。

動画はそこで止まった。

「来春発売される新商品なんだ!」

隆行さんは興奮気味だった。
/179ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ