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秘密の恋人
第8章 漣ーサザナミー
「及川さんに、その男を断ち切る勇気が出来たら、僕と付き合って。それまで待ってる」

「どうして、そんなこと言ってくれるの…」

「及川さんを、好きになったから。君の、自分の嫌な部分も隠せない、素直で不器用なとこが、すごく可愛いと思う。
及川さんに、好きな男がいて、相手もキチンと及川さんに向き合ってるなら、僕の出番なんかないし、諦めもつくけど。
なんか、今の話聞いても、見たこともないその相手の男に腹立つだけだし。先の見えない関係が幸せに繋がるとは僕は思えない。…好きだと思うコに幸せになってほしいと思うのは、当然の感情じゃない?」

「こんな、どっちつかずでフラフラしちゃうような、私で、本当にいいんですか…?」

「どっちつかずになっちゃうのは、今好きな相手に向き合ってもらえてないからでしょ?
だったら一度相手にけしかけてみたら?私に向き合えないなら別れましょう、って。それで相手が本気になったら、それはそれで良し。本気になったその相手と僕を天秤に掛けて、及川さんが選べばいい。選ぶっていう言い方に抵抗があるなら、採用でもいいよ。現状、将来性、色んな条件を比較してどっちを採用するか、それだけだ。相手がそれでもまだはぐらかすなら、そんなオトコは君のためにならない。僕の所に来てほしい。」

巽さんの真剣な眼差しに、私は固まったまま…
目を伏せた。


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