この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
秘密の恋人
第10章 焦燥
新しい男ーーー
幾度も重ねた菜摘への嘘が、現実のものになりつつある、と感じた。
口にした言葉は言霊を持ち、いずれは現実となる。
そんな迷信を信じているわけではないが、その時はふと、そう思った…
そして私はやはり、焦燥感を覚える。
笑って菜摘を見送ることなど出来ない。
相手の男の腕を掴んで引き離してやりたい。
だが、そんなことが出来るはずもない。
そんなことをしたところで、娘を心配する父親と間違われるのが関の山だ。
『お父さんですか?』
とあの青年に聞かれ、菜摘と2人気まずい思いをしているところに、畳み掛けるように
『菜摘さんとお付き合いをさせて頂いております。』
と挨拶される…それは…一際醜悪なシナリオだった…
その場はそのまま通り過ぎ、いつもの逢瀬の時間…
新しい男が出来た素振りも見せず、変わらず私に身を預ける菜摘。
小憎らしいほどいつもと変わらず。
なんだ、イイ奴が出来たんじゃないのか?という言葉が喉元までせり上がって、どうしても吐き出せない。
結局、その、苛立ちとも焦燥感とも取れぬモヤモヤした気持は、まま身体に現れ、1度終えたのに全く治らない。
しっかりとカタチを保ったまま、ヒクヒクと訴えかける欲に負け、私は再び菜摘を求めた。
幾度も重ねた菜摘への嘘が、現実のものになりつつある、と感じた。
口にした言葉は言霊を持ち、いずれは現実となる。
そんな迷信を信じているわけではないが、その時はふと、そう思った…
そして私はやはり、焦燥感を覚える。
笑って菜摘を見送ることなど出来ない。
相手の男の腕を掴んで引き離してやりたい。
だが、そんなことが出来るはずもない。
そんなことをしたところで、娘を心配する父親と間違われるのが関の山だ。
『お父さんですか?』
とあの青年に聞かれ、菜摘と2人気まずい思いをしているところに、畳み掛けるように
『菜摘さんとお付き合いをさせて頂いております。』
と挨拶される…それは…一際醜悪なシナリオだった…
その場はそのまま通り過ぎ、いつもの逢瀬の時間…
新しい男が出来た素振りも見せず、変わらず私に身を預ける菜摘。
小憎らしいほどいつもと変わらず。
なんだ、イイ奴が出来たんじゃないのか?という言葉が喉元までせり上がって、どうしても吐き出せない。
結局、その、苛立ちとも焦燥感とも取れぬモヤモヤした気持は、まま身体に現れ、1度終えたのに全く治らない。
しっかりとカタチを保ったまま、ヒクヒクと訴えかける欲に負け、私は再び菜摘を求めた。