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秘密の恋人
第3章 始マリノ裏側
一時の劣情に流されれば、必ず後悔すると、頭では解っていたのに。

今更何を言っても言い訳にしかならないが…決して、最初から酔い潰してホテルに連れ込もうなどと、良からぬことを考えた訳ではない。

彼女のことも、会社にいる若い女性社員くらいにしか知らず。

ただ、同年代の女性社員に比べて、落ち着いた雰囲気をしているな、というくらいの印象だった。

デスクに向かう姿勢が良く、字も綺麗で、それは良い印象として記憶していた。
部内で香典などを用意する必要がある時は、よく表書きを頼まれていた。

彼女について知っていたのはその程度だ。

だから、偶々道を歩いていて、ぶつかった時、泣いていた事に単純に驚いた。

女性なのだし、泣くこともあるだろう。
それでも、無視はできなかった。

外で軽く食事を済ませ、一杯呑んで帰ろうか、思いながら行きつけのバーに向かう途中だったこともあり、よかったら一緒にどう?と誘った。

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