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秘密の恋人
第3章 始マリノ裏側
事前にお酒が飲めるか飲めないかの確認を怠ったのは致命的なミスだった。

私は酒を飲んで忘れるタチだから、つい同じように考えてしまった。

注文する時に、弱めでと付け加えればよかったのかもしれない。

出てきたカクテルはピンク色の可愛らしい色合いのもので。彼女は出てきたカクテルを少しの間眺めていた。
ウィスキーを少し口に含み、彼女の様子を横目で伺う。
彼女はグラスのステムを持ち、くっと一気に煽った。
おぉ、中々の呑みっぷり、と感心して口角が上がったのも束の間、彼女は大きく目を見開き、そのままぐらり、と上体が揺れる。
慌てて支え、驚いてマスターに何を出したのか聞いた。

『ピンクレディー』…甘くて優しい口当たりの割にアルコール度の高い、レディーキラーとも呼ばれるカクテルの一種だった。

親子ほども年の離れた女性を伴って来店した私が、彼女を酔い潰そうとしているように見えたのなら大変心外だが…

ここはマスターを責めても始まらない。
そもそもマスターは私たちの関係性も年齢差も知らないのだから。
やはり飲めるか飲めないのかの事前確認をしておかなかった私の落ち度だ。

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