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秘密の恋人
第13章 現実
「君にとっての最良の選択は、彼のような若い男と共にあることだ。そしてそれが、私の望む選択でもある。」
「ー好きだと思うコに幸せになってほしいと思うのは、当然の感情じゃない?」
義隆さんの言葉が、巽さんの言葉が、頭の中で響く。
「お客様、ご試着なさいますか?」
店員さんの声に、ビクッと肩を震わせた。
気付くと私はハンガーにかかった洋服の袖を握って考え込んでいたのだ。
傍目にはその服を、買おうかどうしようか悩んでいるようにしか見えなかっただろう。
全く欲しいデザインではなかったけれど、引っ込みがつかなくなり、形だけ試着して、イメージと違う、と曖昧に誤魔化して逃げるように店を出た。
考え事しながらウィンドウショッピングはできないな…
カフェでコーヒーを買い、4階の庭園に出た。
気持ちのいい風が吹いている。
コーヒーを飲みながら、現実を踏まえて、私はどうしていきたいのかを考えた。