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きょうどうせいかつ。
第14章 なんていったら いいのかな。
魔界への足取りは重かった。
クリスは始終うるさかったし、イザベラも妙にテンションが高かった。デュークもデュークで、いつにも増して不運だと呟いていたように思う。
そしてそれは、ブレットも同じだった。
魔界への入り口は、城のすぐ側にあった。
城の後ろには森があったのだが、そこに生えている、一番大きな樹の根っこにあるというのだ。
まさかそんなに近いとは、少し盲点だったと言わざるを得ない。
入り口はどうやらそこだけではなく、至る所に点在しているらしい。なので、もしかしたら中央の国の城の近くにもあるのかもしれない。
そう思ったら少しげんなりした。
要するに、魔族は神出鬼没だということなのだから。
そもそも、魔界はこの世界ではなく、異次元に存在しているらしい。詳しいこともでは分からないのだが、時空の裂け目のようなところから、魔界の入り口が生じるらしく、その時空の裂け目とやらは、何時如何なるとき、如何なる場所で発生するかも分からないらしい。いつの間にか発生して、いつの間にか消える、ベンジャミンはそう言った。
時空の裂け目が生じる理由は全く分かっていない。しかし、近年急激に増加中だという、絶望的なデータが出ているらしい。それをさらりといってしまうイザベラは性格に難ありだと思うが、そこはスルーしておく。
魔界と人間が住む世界はダイレクトに繋がっていて、人の感情が大きく左右されるらしい。つまり、どういうことかというと、人の感情が荒ぶれば荒ぶるほど、魔物たちも悪影響を受けるらしいのだ。
そもそも、魔界という存在は人々の想像力から生まれた世界らしく、その根源が──悪い言い方をすると、汚染されてしまったら、そこから生じた世界も同じようになるのだ。子は親を映す鏡とはよくいったもので、まさにそういう状況だろう。
問題なのは、もしもその通りだとすると、今の魔界は非常に殺伐としていることだろう。何せ、人間の感情をトレースしているのだ。人間界がこれだけ血迷っているのだから、魔族たちも同じ状態なはずだ。
ブレットがそういうと、ベンジャミンは少し困った顔をした。